今回製作する、BMW K1のサイレンサーは、いつも作りなれた形状のサイレンサーと違い、入り口、出口とも丸みを帯びた、リベットを使わないフル溶接のサイレンサーです。
車体への取り付けステーも、いわゆるバンド留めではなく、固定タイプなので、工夫が必要です。
オーナーのN氏が一番こだわっていた、出口形状を丸みの帯びた物にする、というのは、写真のようなフタを使うことでクリアしました。
入り口は、強度も必要な為、おなじ外径のパーツに組み合わせて、新たにウチで金型を起こして、油圧プレスで製作することにしました。
そしていつもの、伝家の宝刀「RSTCシステム」です。
シェルは、こういった1枚のステンレス板を巻いて製作します。
理屈は簡単ですが、寸法をキッチリ図って、正確にカットしないと巻いた時、フタとの間に段差が出来たり、最悪隙間が開いてしまって溶接する事が出来なくなります。
採寸は、同じ肉厚の短冊状の金属板を実際に巻いて、丁度いい寸法に切断して、それを再び平たく開いて、その長さを測定して調べます。
シェルの肉厚は、軽量化の為、0.6mmという薄い物を使用しています。
測定の結果、円周長は356mmとわかりました。
板に開いている穴は、ステーを取り付ける為の穴です。
よく、ステーはシェルに溶接してくれ、と依頼される事がありますが、純正サイレンサーやアルミサイレンサーの様に、肉厚が分厚いシェルを使用している場合は、強度があるので問題ありませんが、今回の様に軽量化を意識した薄肉シェルの場合、溶接すると、溶接部位の周りが振動に耐え切れず、割れてしまいます。
ですので、写真のようなパーツを裏からあてがい、外からステーをボルトで取り付ける、という手法を採ります。
ベースはブラインドリベットで外から固定しています。
中身とシェルを組み立てて溶接、鏡面仕上げを施して、とりあえず完成です。
入り口部のみ、仮止め溶接にしておいて、テスト後、修正出来るようにしておきます。
この後、音をオーナー様に聞いて頂いて、OKだったら本溶接します。
さあ次回は懸案の、純正エキパイの加工です。
乞うご期待^^
ワンオフマフラーのR-style。