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RSTCシステム採用のインナー加工で音質改善&パワーアップ

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バイクマフラー屋の製作日記

ハーレーダビッドソン FXDB ダイナ・ストリートボブ フルチタン・ワンオフマフラー製作 vol,1

2011年01月16日
ハーレー FXDB ダイナ・ストリートボブ

Harley‐Davidson DYNA street bob



ハーレーの中でも、メーカーカスタム色の強い、「ストリートボブ」のフルエキの製作依頼です。


ご覧のように、バンス&ハインズのショート管が装着されているのですが、オーナーのA氏曰く、「うるさくて乗れない!!」そうです。


排気量が1584㏄もあって、このショートサイレンサーじゃあ、そら爆音ですわなあ。




A氏の依頼内容です。


■フルチタンの、集合管のフルエキである事。
■サイレンサーはメガホン・テーパーエンドで、ショートタイプである事。
■チタンの焼け色は、派手に付けて欲しい。
■RSTCシステムで、静かにして欲しい。
■マウントステーは目立たない様に。



また、サイレンサーの位置も明確に指示して下さいました。



打ち合わせの中で、サイレンサーのサイズやスタイルが決定しましたが、またまた静かにするのが困難なスタイルです。

まあ、どのへんで折り合いを付けるか、ということになります。




という事で、先ずはコレクター(集合部)の製作から。




ストリートボブ コレクター





チタンのパイプを角度切りして製作します。
差込部は油圧プレスを使って成形後、溶接します。

今回は、「派手に^^」という事なので、いちどピカピカに磨いてから、炙ってブルーの発色をさせました。


磨いてから焼くと、クリアーなブルーになります。
磨かずに焼いても、ハンドメイド感が出てすごくカッコいいのですが、ケースバイケースで使い分けています。




次にサイレンサーの製作です。




ストリートボブ サイレンサーシェルのレーザーカット




0.6㎜厚のチタンの板を、レーザーで切ってもらいました。
左側の扇形の、左右に開いている小さな穴は、マウントステー用のボルトの穴です。

これも一緒に、レーザーで開けてもらいました。


このふたつを巻いて、円錐状の筒を作ります。




ストリートボブ サイレンサーシェル




円錐の根元が炙ってありますが、これは巻いた後の歪みを取る為で、装飾の為ではありません。


チタンは、こういった「巻き」などの塑性加工(力を加えて変形させる加工のこと)を行うと、元に戻ろうとする力が、他の金属に比べて強いのが特徴です。

これを「スプリングバック」といいます。



スプリングバックが大きい為に、写真のような、直径の小さい巻きを行なって溶接すると、どうしても無理な力が掛かって、完成後も、外に開こうとする力が掛かり続けます。

これを「内部応力」といいます。


これをそのままほっておくと、走行中に破断の原因になるので、その「内部応力」を取り去る為に炙って、「焼き鈍し」(やきなまし)しています。




ストリートボブ サイレンサーの中身 RSTCシステム



サイレンサーの中身はこんな感じです。

このパンチングの中に、「RSTCシステム」が入ってます。

チタンは熱に弱いので、中身はステンレス製です。


このパンチングプレートと、先ほどの円錐チタンシェルとの間に、10㎜厚のグラスウールを入れて、排気の熱でチタンが変色するのを防ぎます。





ストリートボブ チタンとステンレスの接合




シェルはチタン、インナーはステンレスなので、お互いに溶接が出来ません。

なので今回は、ステンレスインナーの先端に、チタンパイプをはめ込んでリベット留めし、そこにシェルを溶接する手法を採りました。


リベットは走行中、熱や振動で弛んでくることが予想されるので、内側を溶接機で溶かして固定しました。




ストリートボブ サイレンサーステー内側



レーザーで開けておいたボルト穴の内側に、ナットを溶接したプレートを仕込んで、サイレンサー側のステーのベースにします。

これもリベットで留めておきます。




サイレンサー本体は、今回は、完成するとオーバーホール出来ないタイプになるので、最終の溶接は、エキパイ完成後、音量のチェックをした後に行うことにしました。




うう、早く音が聞いてみたいいっ!!   つづく





ワンオフマフラーのR-style。